砂かけ祭について

 

当社の御祭神は水を司り、豊かな稔りを授けて下さる御饌神です。

この祭典の正式名称は「お田植祭」ですが、砂を雨に見立てて掛け合うことから「砂かけ祭」と呼ばれるようになりました。古くは延喜式祝詞にも残る「大忌祭」の中で行われていた一行事が現在に継承されています。

祭典日は2月11日(建国記念の日)。

午前10時30分から「殿上の儀」、午後2時から「庭上の儀」の2部に分かれています。祭典は厳かな祈りの場でありながら、その後の奉仕者と参拝者が砂をかけ合うことで五穀豊穣となる雨水の恵みを大神様に願います。また、参集したそれぞれが神事に奉仕し砂にかかることで、厄除けを願う祭典でもあります。  

 

 

※当日の注意事項

〇撮影をされる方は社務所で注意事項の確認をお願いします。

〇ドローンの使用を禁止致します。

〇三脚を使用して撮影することを禁止致します。

〇田人と牛役は鍬で砂を掛ける為、近づき過ぎないで下さい。  

 

【殿上の儀】

 

 
宮司、大前に祝詞奏上の後 、苗代作り・苗代巡り・苗植えの順にお田植の所作を行います。

 =苗代作り=

拝殿を田圃に見立て、田人が鋤き・鍬・ならし竹の順に苗代作りをした後、神前に供えてある籾種を「良き種まこ。福種まこ。」と唱えながら蒔きます。

 =苗代巡り=

田圃を巡りながら「今年は神様のおかげで良き苗ができました。」と唱えます。

 =苗取り=

田人が東を向き「東で八百」、西を向き「西で八百。早乙女衆」と唱えると同時に、早乙女が苗に見立てた松苗を手に持ち、神前との間を足早に1往復します。

 =田植え=

牛面をつけた牛役と田人が犂(からすき)・馬杷(まぐわ)の順に田作りを行った後、早乙女が  

 

一、この苗は我がにはあらず廣瀬なる神のよさせし早苗なり
二、みてぐらは我がにはあらず天にますとゆうか姫の神のみてぐら

 

と神楽歌を謡いながら田植えを行う所作を奉仕すると殿上の儀は終わります。

 

【庭上の儀】

 

 
拝殿前に青竹を4本立て、注連縄を張り巡らして田圃に見立てます。行う事は殿上の儀と同様ですが、太鼓の合図で田人と牛が出て田植えの所作をした後、参拝者に砂を掛けます。

それに対し参拝者が砂を掛け返し、砂かけ合戦が始まります。この砂の掛け合いは1回5分程度で8回繰り返されます。

砂は雨になぞらえられ掛け合いが盛んであるほどこの年はよく雨が降り豊作となる。また、降り注ぐ砂にかかると厄除けになると伝えられています。

この後、早乙女が登場し田植えを行うと庭上の儀は終了します。

最後に参拝者へ松苗と田餅が撒かれます。松苗は松の葉で作られ中に籾種が2・3粒入っており藁で巻かれています。これは田の水口(水の取り入れ口)に刺すと悪病、害虫、悪水などから田を守ります。また家の玄関口に刺しておくと住居を厄災から護るのお守りともなります。田餅は、これを食べると無病息災で一年が過ごせます。

このように当社の砂かけ祭は、昔の田作りの模範田植えであり、砂を雨に見立てて雨水の恵みを乞い、農耕作業が順調に進み五穀豊穣を祈願するところに特徴があります。